交通事故編 斡旋から示談まで ☆PART7

~光と闇~

 

「すいませーん。今の事故、目撃しておられましたか?」

「○○○便」のお兄さんに尋ねる。

「あ、はい。ちょうどぶつかるところを見ていましたよ。大丈夫ですか?」

ここにもいらっしゃった。優しい人が。

目撃証人であることで、更なる輝きを感じる。

 

「まだ、分からないんですけど、もし今後必要になったら証言していただくことできますか?」

こう頼みつつも、内心、期待しないように自分に言い聞かせた。

彼は一見親切そうだが、この世の中には面倒なことに関わりたくはない人間が増加中。そのことも視野に入れるならば、快く何かの「証人」になるのは、余程のお人好しか…

断られることも大いに予想できるこの依頼。果たして、彼はどうでるのか?

即答。

「いいですよ。僕で良ければ」

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目撃証人確保

 彼は、すかさず名刺を渡してくれた。

「ここに電話をくれればいいので…必要でしたら証言しますよ。」

なんと、爽やか!

入浴剤で例えるならば、【フレッシュライムグリーンの香り】だろうか。

(どないな香りや?)

すみませんでした。一見親切そうなどと疑って…。 心のうちで詫びる。

世の中、まだまだ捨てたもんじゃない。

ボランティア精神旺盛な人、正義感の強い人、心底優しい人、そしてお人好しもまだまだ大勢いらっしゃるのだ。

おかげさまで目撃者はキープできた。

 

だが、実はこの間、平行して新たな問題に面していた。

軽い出血をしていた友人は、救急車で搬送された。

70代のは、散乱した荷物を片付けていた。(事故後すぐに連絡を入れた友人夫妻が駆けつけ、のサポートをしてくれていた。ここにもいらっしゃった。面倒がらずに親切に助けてくれる方々が。心より感謝の意を表したい。)

しかし、こんなことは大した問題ではなかった。

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MR POLICEMAN

わたしを新たなパニックに陥れたのは

警察。

そうだ、市民の平和と安全を守るべく、日夜私たちのために働いてくれる警察官。

数多くのドラマや映画で主役となり、男の子たちの将来なりたい職業として常に上位に君臨するあの「警察官」。(ちなみに最近の某アンケートで1位はサッカー選手、2位、野球選手。そして、3位が警察官・刑事なのだそうだ。)

つまり、基本的に警察は「正義の味方」、「みんなのヒーロー」的存在なのだ。

(アンパンマンかいな?)

そう。夢と希望を与えるいわば「リアル アンパンマン」といっても過言ではなかろう。

では、一体、何が問題だというのであろうか??

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交通事故編 斡旋から示談まで ☆PART6

Fight 一発 アドレナリン~

 

「すみません。もしかして相手の方ですか?」

心配顔で近くにいた、ある男性に尋ねる。

「いいえ、違います。」

「じゃあ、助けてくださったんですね。ありがとうございました。」

深々と頭を下げつつ、次なるめぼしい人物を探す。

あの女性かも?

「すみませーん。もしかして相手の方ですか?」

「いいえ、違います。」

今度は、ブンブンと両手と頭を横に振るリアクション付きのサービス。

「じゃあ、助けてくださったんですね。本当にありがとうございました。」

再度、深々と頭を下げる。

(相手はいずこじゃ〜)

 

更なるめぼしい人物を探すこと3-4人。

だが、見つかる気配はない。

どういう事??

ハッとする。

このまま、容疑者逃亡か???

いずれにせよ、まずは目撃者を確保しなければ!!

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情報収集

「すいませーん。目撃しておられましたか?」

手当たり次第、尋ねてみる。

親切な女性が有力情報をくれた。

「わたしは見ていないけど、あの人が見ていたそうよ。」

「ありがとうございます!!」

彼女の指差す先には、「○○○便」のお兄さんが!!

果たして彼は本当に目撃者なのだろうか?

何はさておきダッシュ!

ここで疑問の声が…

(横転した割りに元気やん?)

なぜ元気?

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その原因はこちら。

アドレナリン

別名【恐怖のホルモン】と呼ばれている。

恐怖や怒りや不安で、このホルモンが分泌されると、動けすぎるか動けなくなるかの両極端となる事があり

【fight or flight】

【闘争か逃走か】

のホルモンとも呼ばれるそう。

(英語も日本語もうまいこと言うな〜。山田くーん、座布団5枚あげて)

これが分泌されると、血まみれの怪我をしても全然痛みを感じないこともあるそうな。

実際、バイク事故で足が切断されても、そのまま2キロ走ったライダーのニュースも以前にあった。ツーリング仲間が、足を拾ってきてくれたという、なんとも伝説のような本当の話。

つ・ま・り

かなりの大事故でも、人間は脳が興奮状態のため、元気そうに動けてしまうのだ。

(自分を騙せるなんて、恐ろしい物質やな〜。薬になったらバカ売れするんとちゃう? アナドレナインなんて名前はどうや?)

確かにすごいパワーを秘めているホルモンだ。しかし、残念ながらこれが命取りになってしまう事例も少なくない。事故直後の事情聴取を普通に受けていた人が、翌日に亡くなってしまったということも実際にあるそうだ。

では、では、目撃者は無事捕獲…いや確保できたのか?!

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交通事故編 斡旋から示談まで ☆PART5

~救出~

 

 群がり寄ってくる人々。車内に閉じ込められている自分達を見る誰もが、心配に満ちた表情。

運転席のドアを開けようと試みてくれたが、

不動

(これぞ、あきまへんな~って?)

今度は、後部座席のドアにチャレンジ。なんと!!

簡単に開いた。(若干拍子抜け)

同乗者2人は、【今となっては底部座席】側にいたため、重力の抵抗もなく、するりとシートベルトを外し、立ち上がる。

しかし、宙吊りのわたしは、ロックが掛かったためか、シートベルトがなかなか外れない。

外れないっ 外れないっ!!外れないっ!!!

やっとのことで金具の外れる鈍い音がした。

外れた~。

安堵した。…が体はまだ固定されたままであった。一体なぜ?!

再びベルトを解こうと、必死に身をよじってみる。

あっ!

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不動のシートベルト!

なんと、原因は、同乗者であった。

は、わたしのシートベルトを外すのを手伝うべく後部から必死にわたしの援護をしていた。その手は…

なぜか、わたしの【服のベルト】をしっかりとつかんでいた。獲物を捕らえて離さない鷲のように。

そうだ、その固定力は、元来シートベルトが果たすべき役目をはるかにしのぐ、強靭さ。

(そのうちSUZUKIやHONDAにスカウトされるんとちゃう?)

 その間違えて鷲掴みされていた第2のベルトからも、やっと解放されたわたしは、屈みながらも何とか立ち上がる事ができた。

いざ、車外へ!

1人ずつドアをよじ登る。

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やっと、脱出~

助けてくれた人々の顔は皆、美しく見えた。

(「見えた」なんて、失礼ちゃいまっか?ここんとこは感謝込めてお世辞でも「美しかった」と断言せんとあかんやろ~)

はい。たいそうお綺麗な方々でございました。

 そんな見ず知らずの人々が、自分を助けてくれた時のあの温かな気持ち。

この師走の走り回るような忙しさの中、

(余談であるが「師走」の由来は、奈良時代からの12月の呼び方の当て字説が有力らしい…師が走るという訳ではないようだ。)

たくさんの人が、気遣ってくれた事に感謝の気持ちでいっぱいになった。

これと同じ気持ちは以前友人運転の車でスキーに行った時に味わったことがあった。雪道で脱輪したのだ。原因は、前のBMWがいきなり急ブレーキをかけたため、追突回避の為の急ハンドル。雪に埋もれて見えない側溝にいきなりハマった。

すると、なんと後方から来た車が次々と停まり、大勢が駆けつけて、いとも簡単に脱出させてくれたのだ!

その時の出来事が、走馬燈のように蘇った。此度も本当にありがとう、見知らぬ方々よ!

だが、一体誰がこの事態を引き起こしたのだ?

(これでは、示談どころの話ではない。)

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交通事故編 斡旋から示談まで ☆PART4

~冷静な動転~

 

20××年12月30日。午前11時30分。人々は大晦日イヴのこの日、正月を迎える準備のため(であろう)せわしなく動いていた。

かく言うわたしも、友人宅で一緒にランチをするため、朝から腕を振るって、ナポリの職人もびっくりのピザやら、デパ地下もどきの惣菜やらを作り、車に積み込んでいざ出発。

(随分、ナポリとデパ地下を侮っとる発言やな~。職人さん達にに謝りや!)

はい、すみません。自信過剰でございました。

そんなこんなで、途中と友人1名を拾い、目的地へと向かう。

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事件発生!

幹線道路の信号をゆっくりと右折。

反対車線は信号待ちの車で渋滞中。(そりゃ、晦日ですから…)

注意しつつすぐ先の交差点を通過っ??と思ったら、いきなりドスンッと衝撃を受ける。

何 なに なにぃーっ!!

と言っている間に、ジェットコースターがカーブに差し掛かる時のような、斜め45度からの急激な傾き。

バキ バキ バキーッ!!

(…これまでよく、交通事故に遭った方々に聞いていた。その瞬間がスローモーションのように非常にゆっくりに感じると。まさにその通りだった。あまりのスローさに思考回路までスローになってしまった錯覚に陥る。)

訳も分からず、90度に傾いて停止。助手席を下にシートベルトで宙吊りになっているあたり、まさにジェットコースター故障による緊急一時停止さながら。

(なんだか分からないけど、どうやら交通事故らしい。)とりあえずは、安否確認せねば。

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安否確認

自分:「大丈夫? だいじょうぶーっっ?」

M:「だいじょうぶーっっ」

友人:「だいじょうぶーっっ」

こだまでしょうか? いいえ だれでも。 金子みすゞ童謡集より

返事が返ってきてホッとする。とりあえず良かった。

こうして、まずは同乗者の生存確認 完了。

次は、何を?!

分かるのはただ、散乱しているガラス破片。

走り寄ってくる人達。

そして、わたし達を助け出すため、協力して車を起こそうとしてくれる奇特な方々。

だが、ハッと気付く。このまま車を戻したら、ガラスや衝撃で更なる怪我人が!

自分達も更なる衝撃を受けるに違いない!

ダメだ。絶対に車を動かしてはならない!

そんな事を、コンマ何秒間で考える。

(割と冷静やね~)

「だめ だめ だめーっ!!起こさないで下さいっ!!」

まるで【寝不足続きでやっと迎えた休日の朝】のような台詞を、この度は絶叫した。大げさに両手を振ってアピールしながら。

さて、ここから、どうやって出るんだ?

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交通事故編 斡旋から示談まで ☆PART3

~横転の乱~

 えぇーっ!

これは、果たして事故の大きさに驚いているのか?

はたまたPCに無縁な世代の高齢者が、年齢不相応にハイテク機器を操って、(…いるように見える。単なる初心者の一つ覚え。)いとも簡単に事故状況を明瞭にした事への驚愕なのだろうか?

恐らくその両者であろう。いずれにしても看護師を含め一様に驚いていた。なぜなら

そこに、皆が見たのは、見るも無残な横転車両!

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 そうだ。今回のこの事故は、人生初の横転事故!!

THE O-U-T-E-N!

(ちょいと、あんさん、実は横転、楽しんでんのとちゃいまっか?

確かにすべてが終わった今となっては、これも遠い日の思い出の1ページ。

しかも、誰もが通る道ではないのだ。

そう考えると、これも1つの貴重な…いやいや、異常な体験。特別なオンリーワン♪

とは言っても、一体これを読んでいる何人が横転事故を経験しているだろうか?

そうだ。この場を借りて、「日本野鳥の〇○」の皆さん(注:大晦日に脚光を浴びていたあの方々)にカウントしていただこう。(カチ、カチ、カチ)

。。。。。。はーい、かなりの数、いらっしゃいましたね。

要するに、案外、横転事故は珍しくないのだ。実際、わたしの知人でも体験者は数人いる。また、この度の通院中、待合室で話した方々の中にも、相当ヒドイ横転の経験をされて、リハビリに通わなければならない状況を切々と語られる方も数名おられた。

まして全国区で戦えば

(戦うんかい?)

まだまだ上級者はごまんといることであろう。

よってこの程度の赤の他人の交通事故なんぞにはまったく興味のない人が大多数であることは百も承知だ。

しかしあえて、今後の誰かのために

(…誰や?)

そして、時と共に忘れるに間違いない自分の記憶の整理のために

(随分な自信やね~)

今回の事故の詳細を書き綴っておこう。

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マイナスをプラスへ

こうした一瞬の出来事で生じた不運も、様々な教訓が得られることが後々実感できるようになった。辛い事が起こると、よく忍耐力が養われる機会と言うが、忍耐とは、実は単なる我慢やあきらめとは違うそうだ。

希望をもって…耐えることのできる精神。最も辛い試練でも栄光に変えることのできる美徳。

これほど高尚な忍耐が必要な問題ではないものの、希望をもって耐えてゆくということは、どんな場合にも人をプラスへと動かす力になるだろう。

示談への戦いは今始まったばかりだ。

(カーンッッ!←ゴングの音

これが、相当な時間が掛かるものとは、この時はまだ知る由もなかった。

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