交通事故編 ☆PART25 最終回

~示談斡旋 本番その3~

すべてが終わり部屋を出た時、「人としてのマナー」として、こちらから保険屋にあいさつをする。

(そりゃ、大切やな)

すると、彼らの表情は思いのほか引きつっていた。辛うじて会釈はしたものの、言葉はまったく出なかった。

(きっと、悔しかったんちゃう?)

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「軽」の勝利

きっとそうだ。「(ヘナチョコ)軽自動車」(注:スーパー・クラシックカーと比較)の運転手なんて簡単に黙らせられると思って、「司法の判断を仰いでもらって構わない」とふっかけたが、本当にそうされて、その上結果的に、相当示談金を上乗せせざるをえなくなったのだから。(おまけに、男性3人分の仕事の時間が半日奪われる破目となり、きっと上司にも嫌な報告をしなければならないのであろう。)

(それって絶対、やだわ~)

ちなみに、その時は金額が目当てではなかったので、きちんと計算しなかったが、改めて今回、これを記すに当たって当初提示された示談金と比べたところこうなった。

自分・・・112%UP

M・・・44%UP

当初、金額云々で斡旋を行なおうと思ったわけではない。あまりに理不尽なやり方に納得がいかず、気持ちとしてどうしても100:0にして欲しかっただけだ。だが、結果的には90:10にしたとしても比にならない程の示談金の違いが生じることとなった。

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~・~・~・~

今回の経験は、いかに保険屋が皆に分らせないようにして示談にもっていくのか、その巧妙な手法、様々な圧力等、大いに社会勉強となった。あちらも商売人だ。人を動かす技術があってナンボの世界であろう。しかし、いまだに手足が痛み、治ることが望めない不快な症状が続いていることを考えると、やはり妥当な補償はされてしかるべきだ。

今後、自分よりも、もっと大変な症状に悩まされている人たちが、実情を知らずに簡単に示談させられてしまい、後からさらに苦しむような事態がなくなるよう願って止まない。

裁判も、弁護士でなくても自分でできるようだが、時間とお金とエネルギーが相当にかかるそうだ。その点、この度の「斡旋」に関しては、そうしたハードルがかなり低くなっていることを学んだ。(ちょっと、時間とエネルギーは必要だったが…)

~これらの情報が、事故に遭って悩んでいる誰かの役に立ちますように~

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交通事故編 ☆PART24

~示談斡旋 本番その2~

A弁護士は、事故の状況について聞いてきた。ここで、自分はどうしても90:10に納得がいかない根拠を、状況を交えて説明しはじめる。

するとA弁護士は、いきなり真顔になって、「ここでは、中立の立場でしか扱えないので90:10でしか通せない」と言う。「それが嫌なら裁判をしたほうがいい」と。

ちょっと、きつい感じの言い方をされたが、こちらも相手を立てながら、裁判をするつもりはないが、かくかくしかじかの状況では90:10では感情として納得がいかないだけだ、ということを伝える。

そうすると、表情がやわらげ「これだったら、裁判をやってもいけそうですよ。どうして、裁判にしないんです?このアドバイスしたの誰??自分だったら、裁判を勧めたと思いますけど。」とまで言い出した。

(分っていただければ、それでいいんです。)

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譲歩

ということで、90:10でもよいので、ここで話を進めてもらうことをお願いした。

申立書に記入したこちらの希望に関しても、いろいろな角度から検討し提案てくれた。

ところで、最終的に示談の額がはっきりとされるまでに、3回ほど部屋の入退出を繰り返した。それは、入れ違いに、今度は保険屋側の話を聴くためだ。

(会わなくていいなんて、ラッキー!)

(確かに対面式じゃ、気が重うなるわ)

結局、保険屋のほうは示談の提案として、裁判基準の8割を示してきていたのだが、A弁護士は9割で話をまとめてくれた。

(実のところ、ここまで来るのに、いろいろなサイトを調べてはみたのだが、斡旋をした場合に、裁判基準の何割が示談案として提出されるのかは、まったく未知であった。自分では、7割ぐらいかと思っていたが、それが9割となったのは予想しなかったことだ。しかし、これが相場なのか、今回の事故の場合のA弁護士の取り計らい、手腕ゆえなのかは、残念ながら分らずじまいだ…)

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示談決定

裁判基準の9割ということで、話がまとまった時点で、初めて保険屋と対面することに。

再度部屋に入ると、そこには新たに、スーツで身を固めたいかにも保険屋という雰囲気の3人が座っていた。そのうちの1人は、物損関係で自宅に査定に来た人物。もう1人は、電話とメールでやり取りを続けてきた人身担当の人物。あとの1人の立場は不明だ。

A弁護士が、示談案を読み上げ、その後、両者とも各書類に記名押印をする。(振込先も記入)その後に必要な段取りの説明を受け、終了。

解散。

ありがとうございました、A弁護士!!

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交通事故編 ☆PART23

~示談斡旋 本番その1~

本番当日。

同乗被害者Mと共に、斡旋が行なわれる弁護士会館へ向かう。

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持ち物一覧

1.事故に関する手持ちの書類一切

例)交通事故証明書

診断書、後遺障害診断書

治療費領収書・明細書(入院期間と日数、治療費・通院費のメモ等)

事故前の収入を証明するもの(給与明細、休業損害請求書、源泉徴収票、確定申告の写し等)

その他(差額ベッド代、付き添い日数・費用、修理費、家屋改造費、有給休暇日数等)

2.事故当事者以外のものが示談交渉に当たる場合は、交渉当事者であることの証明

死亡事故の場合は戸籍謄本、または除籍謄本(被害者本人を含む親族関係全部の記載されたもの…相続人および慰謝料請求権者全員のすべての親族関係の記載してある省略していない除籍謄本など)

事故当事者が未成年の場合は戸籍謄本(親権者が確認できるもの)

代理人が出席の場合は、第一回期日までに委任者の委任状と印鑑証明書を提出(示談成立の場合は示談書を持ち帰り、委任者が自署のうえ実印を押印することとなる)

3.印鑑

 出席者の印鑑(三文判で可)

保険会社・事故係等が出席の場合は、免責証書または示談書に有効な印鑑

4.その他

示談が成立した場合には、示談金の振り込み先(銀行等の口座番号)

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弁護士との対面

10分前に到着。待合室に通され、それから斡旋の行なわれる部屋へと案内される。

ドア オープン!

そこには男性が2人座っていた。1人は担当のA弁護士。おそらく、いつも美味しいものを食べているのであろう、なかなかの体格だ。

(いらん、お世話や!)

もうひとりは、保険屋か?…六法全書を前に置き、切れ者の顔をしてはいるが、まだ若い。

A弁護士が自己紹介の後で、すかさず彼の紹介もする。彼は、司法試験に合格し、最高裁判所に採用された司法修習生だと判明。先輩から学ぶため、研修の場として同席させて欲しいとのことだ。

ドラマでは見たことがあったが、生は初めてだ。しかし残念ながらこの度は「これが、本物か~、どれどれ…」などとゆっくり観察している余裕はない。

(そないされたら、向こうが困るわ!!見世物ちゃうで~)

そうだった。早速、本題に入ることに。…って、保険屋はどうしたのだ?示談斡旋というからには、向こうも出向いているはずなのだが。進行するにつれ、どうやら最初から両者が同席して話し合うのではないことが分かった。

A弁護士に、いろいろと事情を尋ねられる。…が、自分があれほど時間を掛けて記入し提出した申立書を、どうやらほとんど見ていなかったようだ。その場で、話を聴きながら、所々で目を落として拾い読みしていた。それも仕方あるまい。これは無料で行なっているいわばボランティア的な分野なのだから。文句は言うまい。

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交通事故編 ☆PART22

~示談斡旋 予習~

日取りが決められ、いよいよ決戦…いや、斡旋の日が明日に迫った。

その晩、さらに効果的に訴えるポイントはないか総合的に見直しをする。

加害車両の構造の図面を再度確認。と、その瞬間、ひらめいた!

この車両のボンネット部分の長さは尋常ではない。それは以前から分かっていたことだが、正確な数字を確かめたところ、なんと運転席の本人の目線の位置から車両の前方先端までがなんと、ほぼ3mなのだ。しかも、車高は1.2m。

(どんだけ、ひらべったい車や?)

そうだ、カモノハシのくちばしのごとく前方に平らに突き出たスペシャル合法改造車。

当然、運転手の目線は、地面から1mあるかないかといったところだ。

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見えてきた現実

実際に床から1mの高さに座り、そこからメジャーで3mを測ってみた。

すると、運転手の目線はどうがんばっても渋滞の車の隙間から反対車線の車両が来ることは、確認できない。なぜなら、その道幅が6mだからだ。

車線半分が3m。運転席から車両前方まで3m。つまり、車体前方3mが反対車線を完全に塞ぐ位置まで出前進しなければ、低い目線で渋滞車両の隙間から安全を確認することはまったく不可能ということだ。

これだ!これで、車両の特殊性が無謀な運転につながったことも証明できる!

急いで、要点のメモを取る。

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更なるひらめき

それに加えて、「購入して1ヶ月未満の不慣れな74歳」というポイントを、何とか納得のいく仕方で強調できないものか考える。

ひらめいた!

例えで訴えるのはどうだろうか? 通常、車両の保険に入る場合、年齢が若いうちは、月々の支払額が非常に高くなっている。なぜか?それはまだ経験が未熟で、判断力も欠如しやすいため事故を起こしやすいからではないだろうか。

今回の場合も、相手は、特殊な車両に関し「経験が未熟で判断力も欠如しやすい」という、まさにピッタリの状態であった。この点も通常の判例が当てはまらないことの根拠にならないだろうか?

(さあ、どうやろか?あんまり意気込みはると、がっかりしまっせ~)

そうだ、これらが決め手になるという確信は、もちろんない。だが、自分なりに最後まで考え抜いた納得のいく説明ができるのであれば、たとえ、うまくいかなくとも諦めはつく。

さあ、いよいよ本番だ!

~・~・~・~

追記:やはり、どんなことでも視点を変えて、再度考えるのは大切なことだ。それが、その件で直接的には役立たないことも多々ある。しかし、そのように考える習慣を持ち続けるなら、他の分野において、「ひらめき」を役立てられる日が来るに違いない。

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交通事故編 ☆PART21

〜斡旋準備〜

今回の弁護士への相談で、いろいろと明瞭になったため、いきなりではあるが、即日斡旋の申し込みの手続きもしていくことにした。

今日来て、今日申し込む人も珍しいようで、手続きの段取りを聞いて今から申し込みをすることを伝えると、弁護士も、窓口の受付の人も

「あっ...そう...ですか...」という若干当惑気味の反応。

恐らく、大抵の人は何度か相談してから決めるのであろう。

(あんさん、実のところは、3度目の経験者やからな~)

そうだ。自分は、この日「斡旋まっしぐら」の意気込みで臨んでいたのだが、その事情を知らない人々にとっては稀有なパターンだったに違いない。

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示談あっ旋申出書

いよいよ書類の作成だ。B4サイズの用紙をもらう。

細かな点をたくさん記入しなければならない。この作業のために、空いている個室を借りられたのだが、すべて記入するまでに1時間以上かかった。

内容

左半面「事故年月日、事故発生場所、申立て人・加害者側双方の住所・氏名・電話番号、任意保険の会社名・住所・部署・担当者名・電話番号」

右半面「事故の概要、申出の事情、備考」

左半分は、ごく簡単に記入できた。問題は右半分。事故状況を図と文章で表記した。これまでも何度か書いてあったので、これもさほど難しくはない。

難関は、「申し出の事情」。まず保険会社との争点となっている部分を書く。それから、こちらが希望する条件とその理由も書く。と言っても、この大部分は先程受けたばかりの無料相談で得た情報だ。

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「申し出の事情」の具体的内容

・休業損害(○○円 賃金センサスより)

・慰謝料(約10か月 ○○円)

・後遺障害(14級9号)の逸失利益(ちなみに右側利き手だとライプニッツ係数でなんちゃらという計算式があった)○○円

・後遺障害の慰謝料(○○円)

・後遺障害の被害者請求でかかった申請費用(診断書10,800円・画像用CD-R540円・簡易書留515円)

・物損の車両代

・代車・レッカー代(既に車屋に支払い済みだったため領収書を後で提出)

・破損した車載物の損害補償金(これは事故後すぐに、保険屋から物損担当の人が自宅に派遣され、写真を撮ったり使用期間等をチェックしたりしていき、双方の合意の下、既に決定されていた。)

・過失割合を100:0もしくは90:0で。

理由:加害者の著しい不注意、著しい加速、購入後一ヶ月未満という特殊な形状の車両の、操作判断への未熟さ。被害者の救助を放置し、自己車両の修理に専念していた事故直後の対応。事故数日後の加害者との電話での「自分の保険屋から10:0になるかもとのことだったので、それで良いと承諾した」という旨の対応。

~~~~

ざっとこれだけのことを、詳しい計算式も含めて書き上げた。

加えて同乗者であった、身内Mの分も、ついでであったので作成。

(ふーっ、やれやれ…。よくやった、自分!!)

受付に提出し、書き落としがないかをチェックされ、後日両者の都合の合うときを指定する電話が来ることを伝えられた。(日程調整に大体2週間ほどかかるようだった。)

後は、電話を待つのみ。

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