交通事故編 斡旋から示談まで ☆PART5

~救出~

 

 群がり寄ってくる人々。車内に閉じ込められている自分達を見る誰もが、心配に満ちた表情。

運転席のドアを開けようと試みてくれたが、

不動

(これぞ、あきまへんな~って?)

今度は、後部座席のドアにチャレンジ。なんと!!

簡単に開いた。(若干拍子抜け)

同乗者2人は、【今となっては底部座席】側にいたため、重力の抵抗もなく、するりとシートベルトを外し、立ち上がる。

しかし、宙吊りのわたしは、ロックが掛かったためか、シートベルトがなかなか外れない。

外れないっ 外れないっ!!外れないっ!!!

やっとのことで金具の外れる鈍い音がした。

外れた~。

安堵した。…が体はまだ固定されたままであった。一体なぜ?!

再びベルトを解こうと、必死に身をよじってみる。

あっ!

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不動のシートベルト!

なんと、原因は、同乗者であった。

は、わたしのシートベルトを外すのを手伝うべく後部から必死にわたしの援護をしていた。その手は…

なぜか、わたしの【服のベルト】をしっかりとつかんでいた。獲物を捕らえて離さない鷲のように。

そうだ、その固定力は、元来シートベルトが果たすべき役目をはるかにしのぐ、強靭さ。

(そのうちSUZUKIやHONDAにスカウトされるんとちゃう?)

 その間違えて鷲掴みされていた第2のベルトからも、やっと解放されたわたしは、屈みながらも何とか立ち上がる事ができた。

いざ、車外へ!

1人ずつドアをよじ登る。

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やっと、脱出~

助けてくれた人々の顔は皆、美しく見えた。

(「見えた」なんて、失礼ちゃいまっか?ここんとこは感謝込めてお世辞でも「美しかった」と断言せんとあかんやろ~)

はい。たいそうお綺麗な方々でございました。

 そんな見ず知らずの人々が、自分を助けてくれた時のあの温かな気持ち。

この師走の走り回るような忙しさの中、

(余談であるが「師走」の由来は、奈良時代からの12月の呼び方の当て字説が有力らしい…師が走るという訳ではないようだ。)

たくさんの人が、気遣ってくれた事に感謝の気持ちでいっぱいになった。

これと同じ気持ちは以前友人運転の車でスキーに行った時に味わったことがあった。雪道で脱輪したのだ。原因は、前のBMWがいきなり急ブレーキをかけたため、追突回避の為の急ハンドル。雪に埋もれて見えない側溝にいきなりハマった。

すると、なんと後方から来た車が次々と停まり、大勢が駆けつけて、いとも簡単に脱出させてくれたのだ!

その時の出来事が、走馬燈のように蘇った。此度も本当にありがとう、見知らぬ方々よ!

だが、一体誰がこの事態を引き起こしたのだ?

(これでは、示談どころの話ではない。)

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