交通事故編 斡旋から示談まで ☆PART6

Fight 一発 アドレナリン~

 

「すみません。もしかして相手の方ですか?」

心配顔で近くにいた、ある男性に尋ねる。

「いいえ、違います。」

「じゃあ、助けてくださったんですね。ありがとうございました。」

深々と頭を下げつつ、次なるめぼしい人物を探す。

あの女性かも?

「すみませーん。もしかして相手の方ですか?」

「いいえ、違います。」

今度は、ブンブンと両手と頭を横に振るリアクション付きのサービス。

「じゃあ、助けてくださったんですね。本当にありがとうございました。」

再度、深々と頭を下げる。

(相手はいずこじゃ〜)

 

更なるめぼしい人物を探すこと3-4人。

だが、見つかる気配はない。

どういう事??

ハッとする。

このまま、容疑者逃亡か???

いずれにせよ、まずは目撃者を確保しなければ!!

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情報収集

「すいませーん。目撃しておられましたか?」

手当たり次第、尋ねてみる。

親切な女性が有力情報をくれた。

「わたしは見ていないけど、あの人が見ていたそうよ。」

「ありがとうございます!!」

彼女の指差す先には、「○○○便」のお兄さんが!!

果たして彼は本当に目撃者なのだろうか?

何はさておきダッシュ!

ここで疑問の声が…

(横転した割りに元気やん?)

なぜ元気?

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その原因はこちら。

アドレナリン

別名【恐怖のホルモン】と呼ばれている。

恐怖や怒りや不安で、このホルモンが分泌されると、動けすぎるか動けなくなるかの両極端となる事があり

【fight or flight】

【闘争か逃走か】

のホルモンとも呼ばれるそう。

(英語も日本語もうまいこと言うな〜。山田くーん、座布団5枚あげて)

これが分泌されると、血まみれの怪我をしても全然痛みを感じないこともあるそうな。

実際、バイク事故で足が切断されても、そのまま2キロ走ったライダーのニュースも以前にあった。ツーリング仲間が、足を拾ってきてくれたという、なんとも伝説のような本当の話。

つ・ま・り

かなりの大事故でも、人間は脳が興奮状態のため、元気そうに動けてしまうのだ。

(自分を騙せるなんて、恐ろしい物質やな〜。薬になったらバカ売れするんとちゃう? アナドレナインなんて名前はどうや?)

確かにすごいパワーを秘めているホルモンだ。しかし、残念ながらこれが命取りになってしまう事例も少なくない。事故直後の事情聴取を普通に受けていた人が、翌日に亡くなってしまったということも実際にあるそうだ。

では、では、目撃者は無事捕獲…いや確保できたのか?!

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交通事故編 斡旋から示談まで ☆PART5

~救出~

 

 群がり寄ってくる人々。車内に閉じ込められている自分達を見る誰もが、心配に満ちた表情。

運転席のドアを開けようと試みてくれたが、

不動

(これぞ、あきまへんな~って?)

今度は、後部座席のドアにチャレンジ。なんと!!

簡単に開いた。(若干拍子抜け)

同乗者2人は、【今となっては底部座席】側にいたため、重力の抵抗もなく、するりとシートベルトを外し、立ち上がる。

しかし、宙吊りのわたしは、ロックが掛かったためか、シートベルトがなかなか外れない。

外れないっ 外れないっ!!外れないっ!!!

やっとのことで金具の外れる鈍い音がした。

外れた~。

安堵した。…が体はまだ固定されたままであった。一体なぜ?!

再びベルトを解こうと、必死に身をよじってみる。

あっ!

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不動のシートベルト!

なんと、原因は、同乗者であった。

は、わたしのシートベルトを外すのを手伝うべく後部から必死にわたしの援護をしていた。その手は…

なぜか、わたしの【服のベルト】をしっかりとつかんでいた。獲物を捕らえて離さない鷲のように。

そうだ、その固定力は、元来シートベルトが果たすべき役目をはるかにしのぐ、強靭さ。

(そのうちSUZUKIやHONDAにスカウトされるんとちゃう?)

 その間違えて鷲掴みされていた第2のベルトからも、やっと解放されたわたしは、屈みながらも何とか立ち上がる事ができた。

いざ、車外へ!

1人ずつドアをよじ登る。

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やっと、脱出~

助けてくれた人々の顔は皆、美しく見えた。

(「見えた」なんて、失礼ちゃいまっか?ここんとこは感謝込めてお世辞でも「美しかった」と断言せんとあかんやろ~)

はい。たいそうお綺麗な方々でございました。

 そんな見ず知らずの人々が、自分を助けてくれた時のあの温かな気持ち。

この師走の走り回るような忙しさの中、

(余談であるが「師走」の由来は、奈良時代からの12月の呼び方の当て字説が有力らしい…師が走るという訳ではないようだ。)

たくさんの人が、気遣ってくれた事に感謝の気持ちでいっぱいになった。

これと同じ気持ちは以前友人運転の車でスキーに行った時に味わったことがあった。雪道で脱輪したのだ。原因は、前のBMWがいきなり急ブレーキをかけたため、追突回避の為の急ハンドル。雪に埋もれて見えない側溝にいきなりハマった。

すると、なんと後方から来た車が次々と停まり、大勢が駆けつけて、いとも簡単に脱出させてくれたのだ!

その時の出来事が、走馬燈のように蘇った。此度も本当にありがとう、見知らぬ方々よ!

だが、一体誰がこの事態を引き起こしたのだ?

(これでは、示談どころの話ではない。)

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交通事故編 斡旋から示談まで ☆PART4

~冷静な動転~

 

20××年12月30日。午前11時30分。人々は大晦日イヴのこの日、正月を迎える準備のため(であろう)せわしなく動いていた。

かく言うわたしも、友人宅で一緒にランチをするため、朝から腕を振るって、ナポリの職人もびっくりのピザやら、デパ地下もどきの惣菜やらを作り、車に積み込んでいざ出発。

(随分、ナポリとデパ地下を侮っとる発言やな~。職人さん達にに謝りや!)

はい、すみません。自信過剰でございました。

そんなこんなで、途中と友人1名を拾い、目的地へと向かう。

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事件発生!

幹線道路の信号をゆっくりと右折。

反対車線は信号待ちの車で渋滞中。(そりゃ、晦日ですから…)

注意しつつすぐ先の交差点を通過っ??と思ったら、いきなりドスンッと衝撃を受ける。

何 なに なにぃーっ!!

と言っている間に、ジェットコースターがカーブに差し掛かる時のような、斜め45度からの急激な傾き。

バキ バキ バキーッ!!

(…これまでよく、交通事故に遭った方々に聞いていた。その瞬間がスローモーションのように非常にゆっくりに感じると。まさにその通りだった。あまりのスローさに思考回路までスローになってしまった錯覚に陥る。)

訳も分からず、90度に傾いて停止。助手席を下にシートベルトで宙吊りになっているあたり、まさにジェットコースター故障による緊急一時停止さながら。

(なんだか分からないけど、どうやら交通事故らしい。)とりあえずは、安否確認せねば。

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安否確認

自分:「大丈夫? だいじょうぶーっっ?」

M:「だいじょうぶーっっ」

友人:「だいじょうぶーっっ」

こだまでしょうか? いいえ だれでも。 金子みすゞ童謡集より

返事が返ってきてホッとする。とりあえず良かった。

こうして、まずは同乗者の生存確認 完了。

次は、何を?!

分かるのはただ、散乱しているガラス破片。

走り寄ってくる人達。

そして、わたし達を助け出すため、協力して車を起こそうとしてくれる奇特な方々。

だが、ハッと気付く。このまま車を戻したら、ガラスや衝撃で更なる怪我人が!

自分達も更なる衝撃を受けるに違いない!

ダメだ。絶対に車を動かしてはならない!

そんな事を、コンマ何秒間で考える。

(割と冷静やね~)

「だめ だめ だめーっ!!起こさないで下さいっ!!」

まるで【寝不足続きでやっと迎えた休日の朝】のような台詞を、この度は絶叫した。大げさに両手を振ってアピールしながら。

さて、ここから、どうやって出るんだ?

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